JICAの元隊員さんに青年海外協力隊で「求められる英語力・その他言語力」についてインタビューしました!
毎年、春と秋に募集される青年海外協力隊(JICA)。憧れている人も多いですよね。
でも、応募の前に立ちはだかるのが、英語をはじめとする「語学の壁」。
- 英語が話せなくてもJICAに応募していいのかな?
- 派遣前に勉強する時間はある?
- JICA派遣中に英語がペラペラになるの?
そんな疑問を持っている人が多いようです。
そこで、今回の記事ではJICA元隊員で、アフリカに滞在していた女性Yさんに、「青年海外協力隊における語学」というテーマでインタビューをしてみました。
JICA応募時・派遣前・派遣後に体験した「英語」「その他の外国語」に関するトピックを扱っていますので、ぜひ応募の参考にしてください!
- JICA(青年海外協力隊)派遣を目指している方
- 英語がまったく話せないけどJICAにチャレンジしてみたい方
- JICA隊員の体験談を知りたい方
- 青年海外協力隊で必要な英語力は、派遣先によって違う!
- 青年海外協力隊の応募条件とは?英語圏は厳しい?
- 青年海外協力隊の語学訓練について
- 青年海外協力隊に行ったら英語力は上がる?
- 青年海外協力隊は派遣先によって必要な英語力が変わります
青年海外協力隊で必要な英語力は、派遣先によって違う!
まず大前提として、皆さんに理解してほしいことが2つあります。
一つ目が、JICAへ応募するなら最低限、「中学レベルの英語は理解できた方が良い」ということ。
一般案件の応募に際し、必要となる語学力は、英語の場合、中学卒業程度(英検3級もしくはTOEIC®スコア330点)に設定しております。この目安は合格後の派遣前訓練において語学力を習得する素地があるかどうかを確認することを目的として設定しています。
言い換えると、現時点で英語がしゃべれなくても、ベースと学ぶ意欲があれば応募可能だよ!ということですね。
そして二つ目が、派遣される国や案件によって「求められる英語力」が異なるということ。
JICAで派遣される国は世界中にあります。もちろん、英語圏だけではありません。
だから
- 応募時点で英語が話せなきゃダメ
- 派遣されれば英語がペラペラになる
のように言い切れません。
【英語が公用語の国(案件)】を選ぶか、【それ以外の国(案件)】を選ぶかで、求められる英語レベルや帰国後の英語力が変わるのです。
この情報をぜひ、頭に入れておいてください。
ここからは派遣先の公用語が英語かどうかで分けて、詳細をご説明します!
公用語が「英語」のとき
あなたが「英語を公用語」としている国(あるいは案件)*1を選んだ場合。
応募時点で、より高い英語力が求められるでしょう。
高度な案件では、応募時点で「英語力A」や「英語力B」と指定されています。
- 英語力A:TOEFL550点、TOEIC730点以上、IELTS 6.0以上など
- 英語力B:TOEFL500点、TOEIC640点以上、IELTS 5.0以上など
ただし、これはあくまでもスコアの話。
TOEICでハイスコアを取っていても英語が喋れない、という人もいますよね。
つまり応募時点で、流ちょうな英語がしゃべれなくても大丈夫だということ。
JICAでは、現地へ派遣される前に「英語の語学訓練」を受けることができます。
会話・文法・単語を学ぶクラスと、英語でプレゼンをするクラスがあり、ここで頑張れば、十分に英語力を上げることができます。
「英語が喋れない」と、応募前から自信を失う必要はありませんよ!
公用語が「英語以外」のとき
一方、「公用語が英語でない」国に派遣される場合もあります。
アフリカならフランス語、南米ならスペイン語の国が多いですよね。
派遣先の公用語が英語でなければ、応募時点で英語・派遣先の公用語は話せなくてもOKです。
その代わり、派遣前の語学訓練では、みっちり現地の公用語を勉強することになります。
フランス語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、タイ語…など、派遣先によって学ぶ言語が変わりますよ!
英語以外の言語を学びたい人は、こっちを選択しましょう!
「現地語」も勉強しなきゃいけない?
JICAの語学訓練で「英語」や「その他の公用語」を習っても、現地の人が公用語を話せなければ、コミュニケーションは成立しません。
現地の人と密接にコミュニケーションを取りたい場合は、派遣先の地域や部族で話されている「現地語」の習得が必要になる場合も!
つまり「公用語」+「現地語」という2言語以上を訓練する可能性もあるのです。
※もちろん公用語のみの場合もあります。
これについては、後の章で補足します。
英語の有無にかかわらず、語学の勉強が苦手な方には厳しいかもしれませんね…
では、元隊員のYさんにインタビューしながら、JICAの語学に関する情報を解説していきます!
青年海外協力隊の応募条件とは?英語圏は厳しい?
JICA(青年海外協力隊)の募集要項には、案件(派遣先+職種)ごとに、語学力の目安が記載されています。
【例(一部抜粋)】
- 国名:ブータン
- 要請内容:国外から調達した物の品質検査業務を支援します。
- 資格条件:大卒(XXX) 実務経験(2年以上)
- 選考指定言語:英語B
「選考指定言語」の欄に記載されているものが、この案件に必要な語学条件になります。
Yさんが応募された当時(2017年)、第一希望案件は「空欄(条件なし)」 第二希望・第三希望の案件では「英語力B(TOEICの場合は640点以上)」と、条件がついていました。
そこでYさんは応募までに、TOEIC640点程度のスコアを取得されました。
やはり、英語圏に行く場合はそれなりの英語レベルが求められるんですね
Yさんの場合、仕事で半年間、英語圏に滞在していた経験があります。
日常会話程度は話せていたそうですが、JICA合格後は、個人でオンラインの英会話レッスンを受けられていましたよ!
合格後~訓練の間に、自主勉強はしておいた方がよさそうですね
現在では、語学条件なしの場合でも「言語問わずD」と表記が変更されているようです!
青年海外協力隊の語学訓練について
JICAでの書類審査や面接を経て、第一希望の国に派遣されることになったYさん。
第一希望の国は公用語が英語ではないため、その国で使用されている公用語をイチから習得する必要がありました。
ここでは便宜上フランス語とします
当然、フランス語なんか人生で一度も習ったことのないYさん。
でも大丈夫!派遣前の語学訓練を受ければ、話せるようになりますよ!
ちなみに
- 公用語が英語の国に派遣される人は英語
- 英語以外の場合は現地の公用語
のクラスでそれぞれ勉強します。
全体の半分は英語のクラス。英語を公用語とする派遣先が多いということですね。
それでは順を追って説明しましょう。
①事前課題
JICAに合格してから合宿が始まるまで、事前課題が配られるそうです。
ここで
- 基本の発音
- 文法の基礎
- 簡単な挨拶
- 数字
- 日にち
などを習得します。
②クラス分けテスト
さて、事前課題を終わらせたらいよいよ合宿開始です。
この合宿のはじめに言語ごとにクラス分けテストがあります。
あくまでもクラス分けですので、ここで高得点が取れなくても大丈夫。
③毎日3時間以上の語学訓練
クラス分け後は本格的に訓練開始です。
毎週月~土曜は、最低でも3時間以上の語学訓練があります。
かなりみっちりですね…
英語クラスは文法だけではなく、プレゼンなどの授業があるようです。
そして英語・その他言語問わず、なかには英語で説明をする先生がいらっしゃるようです。
つまり日本語⇔派遣先公用語ではなく、英語⇔派遣先公用語の説明です。
英語だと英⇔英ですね。
④最終テスト
さて長い訓練合宿が終わりに近づくと、最後にテストが待ち受けているそうです。
これは英語でも、その他言語でも同じ。
そのテストで一定の成績を取れなければ派遣中止となってしまう人も!
気を付けておきたいところですね…。
補足:公用語以外の「現地語」を習得する可能性も!
JICAの語学訓練は基本的に派遣先の「公用語」を習得します。
しかし、公用語の習得だけに留まらない可能性もあります。
特にアフリカの場合、多部族国家が多いのが特徴。
それぞれの部族ごとに異なる言語があるので、仕方なく公用語が元統治国の言語*2になっていることが多いです。
ガーナを例に出してみましょう。
ガーナはかつてイギリスの植民地でした*3。ですので公用語は英語です。
しかし、多数の部族で構成されているため約80の言語が話されています。
ですから、現地に派遣されてから1か月前後、現地の語学学校、もしくはホームステイで公用語から現地語・部族語を学習することもあります。
現地の方と深いコミュニケーションを取れるようになるには、こうした努力も必要です
青年海外協力隊に行ったら英語力は上がる?
派遣がはじまってから、英語を使うことはありましたか?
派遣先が英語圏ではないので、日常では使用しませんでした…
JICAの案件のなかで、英語を使う国に派遣された場合は英語力は伸びます。
しかしYさんのように、英語圏ではない国に派遣された場合は、日常的に英語を利用する機会はありません。
代わりに現地で使われている、公用語や現地語力は伸びますよね。
ただし、現地の言葉を教えてもらうときに、英語で説明を受ける場合があるそうで、その際には英語を話せる方が良いそうです。
青年海外協力隊は派遣先によって必要な英語力が変わります
ここまで、現役隊員のYさんに英語・その他言語に関するインタビューをしてきました。
インタビューで分かった内容をまとめると、以下の通りになります。
- JICAの応募には「中学卒業程度」の英語力が必要
- 英語圏では、英語の基礎がある方が◎
- 英語圏以外では、英語・現地公用語は話せなくてもOK
- 意欲的に学べる人が向いている
- 訓練で、英語もしくは現地公用語を学ぶことができる
- 日本語ではなく英語で授業を行う先生がいる
- 英語力を強化したいのであれば、英語圏の国を希望しよう
- 公用語とは別に、現地語が必要となる場合もある
- 英語圏以外の国に派遣された場合でも、英語で現地語の説明を受ける機会がある
現地の言葉に興味を持って勉強する志があれば、応募時点で全く喋れなくても大丈夫だと思います。
これから応募しようと思っている皆さん、語学の壁に負けずトライしてみましょう!